「…あぁ、そうだね」
 
「ひどーい、冗談だと思ってるでしょ。あたし本気だよ?うちのパパ、社長なの。今までお願いして聞いてくれなかった事なんてないんだから」
 
「………」
 
「本当なんだからぁ」
 
そう言いながらブスッと頬を
膨らませる
 
俺は胡桃のアタマを撫でながら
「わかったよ」と軽く流した
 
 
自分の娘が男と留学したいなんてわがまま、許す親がいるのか?
 
まぁまだ先の話だし、何年かしたら胡桃も行きたい進路が決まるだろ
 
 
今日付き合い始めたばかりだと
言うのに
 
俺はどこか冷めてた
 
 
 
次の日、学校に行くと早々に
俺達の事が広まっていた
 
「アツ、おはよ。噂は本当?篠原胡桃と付き合い始めたって」
 
教室に入るなり近付いてきたのは海里