「…何スか?」
 
「…お前ら付き合ってんの?」
 
先輩、疑ってる…
確信がないからだ
お願い、誤解しないで
これはネックレスを返してもらうための演技なの
 
あたしは祈るように先輩を見た
 
「そうですよ」
 
「そのネックレスはいつ間宮に?」
 
「…昨日。要が倒れたのが心配で、夜家まで押しかけちゃったんです。それで付き合う事に。ね」
 
『ね』ってあたしに同意を
求めないで…
そうです。なんて言えるわけない
 
あたしが首を縦に振らないでいると水沢くんは先輩には聞こえない声で
 
「ここで頷かないと、
後で後悔するよ」
 
意味がわからなかった
 
けど意味がわからないまま
頷けない
 
「…間宮?」
 
「せんぱ……
 
繋いでいた手に力が入って
水沢くんに引き寄せられた
 
そのまま、逃げられないように
彼はあたしの後頭部を手で抑えて
 
チュッ
 
…え?
 
水沢くんの言った事が今になって
理解できた
さっき頷いていれば、こんな風にキスをされる事もなかった