「…うるさいなぁ」
 
「3年7組、山下敦郎〈ヤマシタ アツロウ〉。
甘いマスクで老若男女問わず目が合った子みんなオチてくらしいよ」
 
「老若男女って…。よく知ってるね」
 
「駿ちゃん情報。まぁあたしも
実際にそのマスクを拝んだことないんだけど」
 
「あの大群だもんね。拝める方が奇跡だよ。それにあの様子じゃ
行くとこ全部に群がってそうで…
山下先輩かわいそう。一人になりたい時だってあるはずなのに」
 
「もぉ要は優しいんだからぁ。
早く佐々木先輩なんか忘れて新しい男だよ」
 
そう言いながら亜子とジャれているところに向けられている視線なんか気付くはずもなく…
 
 
 「…あの子…」
 
「なぁに山下くん」
 
「俺…幽霊なんだって」
 
「何それ~」
 
「山下先輩が笑ってる~」