「お姉さん、これ美味しいです」
「ふふふ、ありがとう。それ、
まだお店には出してない新作なの。要ちゃんに一番に食べて欲しくて」
「新作なんですか?毎日でも食べたいくらいですよ」
「それにしても、要ちゃんは美味しそうに食べるなぁ。見てて気持ちがいいよ」
「だって本当に美味しいんですもん。あ、お店は大丈夫ですか?」
「いーの、いーの。あたし達がいなくても回るんだから。要ちゃん、ケーキ食べたらこっちいらっしゃい。浴衣着付けてあげる。
この後お祭り行くんでしょ?」
「はい。でも、あたし浴衣持ってない…」
「美香のお古だけど要ちゃんに
ちょうどいいのがあるから。
あ、お古なんて嫌よねぇ」
「そんなことないですよ。嬉しいですけど、いいんですか?」
「古臭い柄じゃねーの?」
「敦郎…、あんた刺すよ。
2年くらい前に買ったんだけど、今のあたしじゃさすがに若すぎる柄だから。良かったら着て?」
「ありがとうございます。すっごい嬉しいです。急いで食べますね」
「急がなくていいよ。ゆっくり食べな」