「まぁ、それだけ聞けば確かに、尻軽って言われちゃうかもしれないですけどねぇ」

「な、菜穂ちゃんもそう思う……!?」

「はい、すごーく」

「えぇ!?」

「うそですよぉ〜」



からかうように笑うと、菜穂ちゃんは手にしていたコップをコン、とデスクに置いた。



「あたしは、ちー先輩がそういう人じゃないって知ってますからぁ」

「本当に……?」

「ちー先輩が、広瀬先輩のことちゃんと好きだったの分かってます。けど良くも悪くも、人の気持ちなんて変わるものですから。自然と心がそっちに向かったなら、そうなる運命だったってことなんじゃないですかぁ」



私は、内海さんを好きになる運命だった……?



「尻軽上等ですよぉ。あたしもよく見た目で『軽そう』とか言われるんですけど、彼氏と五年目なんですぅ」

「えっ、そうなの!?」



確かに、ギャルっぽい見た目のせいというかなんというか……五年付き合っているというのは少し意外。

だからこそ、菜穂ちゃんには分かる気持ちがあるんだろう。



「けど、周りになに言われてもどうでもいいんですぅ。自分の心がそこにあって、彼がそれを分かってくれていれば、それで」

「自分の心が……」

「大事なのは、そこでしょ」