「あ、ちー先輩戻ってきたぁ」
呆然としたまま商品部のフロアへ戻ってきた私に、菜穂ちゃんはデスクに頬杖をついて、パソコンに向かい仕事をしながら出迎える。
「ここにしっかり書類置いたままですけど、経理部になんの書類置きにいったんですかぁ?」
「あ……うん、ごめん」
呆れたように書類をひらひらとさせると、落ち込む私に気付いたようにパソコンからこちらへ視線を向けた。
「さっきとテンションがえらい違いますけど、なにかありましたぁ?」
「……な……」
「へ?」
「……私って、尻軽かな……!?」
「はい??」
私の唐突な問いに、菜穂ちゃんは意味が全くわからないといったように「とりあえず座ったらどうですか」と席に着かせる。
フロアの中は皆出払っていて、私と菜穂ちゃんの二人だけだ。
その中で、デスクにあったコーヒーを一口飲むとすらりとした足を組む菜穂ちゃんに、私は自分の気持ちと先ほどの女性社員たちの話をぽつりぽつりと説明した。
「……というわけで、」
「へぇ〜……まぁ、内海さんとのことはなんとなく分かってましたけどぉ」
「えっ!?そうなの!?」
「ちー先輩、わかりやすすぎですよぉ」
菜穂ちゃんには内海さんへの気持ちまでばれていたなんて……本当、とれだけわかりやすいの、私……。