結婚パーティかぁ……いいなぁ。

広瀬先輩と別れ、ひとり廊下を歩きながら先程渡された招待状を見る。



大きな結婚式ではなくて、結婚パーティってところが広瀬先輩らしいかも。

白いタキシード姿、素敵だろうなぁ。そんな想像をしながら、とりあえず一度自分のフロアへ戻ろうと廊下を歩く。



「ねぇねぇ、聞いた?広瀬くん結婚だって!」



すると、突然聞こえたその一言に思わず足を止めた。

広瀬先輩の話……。

それは近くの商品部・商品管理課のフロアから聞こえた声で、つい聞き耳をたててしまう。



「あー、確かできちゃった婚でしょ?彼女いるって話なんて知らなかったからびっくりー」

「ねー。これでまたひとり、イケメンが既婚者に……はぁ、」



声から察するに中には二名ほどの女性社員がいるらしく、『広瀬くん』の呼び方からおそらく広瀬先輩たちよりも先輩らしい。



「でもさぁ、あの宣伝課の子、広瀬くんのこと好きだったじゃん?ショックだろうね」



って、えぇ!?私の気持ち知られてる!?私、そこまで分かりやすいかな!?

でも内海さんも前に『見てれば分かる』って言っていたっけ……。まさか、それ以外の人たちにもばれていたなんて。



は、恥ずかしい……!

染まる頬を両手でおさえながらも、まだ聞き耳を立て続けてしまう。