「オレが散歩してたら、お前がここで寝てたんだ」

「な、なにそれっ…」

どうしよう…わたし…
ここ、どこ…?
家じゃないのっ…?
どうしてこんなところにいるの…?

「名前は?」

「え?名前?」

「名前」

「神奈月ゆず…」

「ゆず、帰る所ないのか?」

「………」

「オレの家に来いよ!」

「えっ?いいのっ⁉︎」

「おう!」

「ありがとうっ!」

大丈夫。きっと帰れる。

ゆずは、自分の心にそう言い聞かせるのがやっとだった。