「隆にリークしますよ」
「やめろよ、冗談だってば! 私があのバカ一筋なのは知ってるでしょ?」
「ええ。でもまぁ、ちょっと小島さんに体格とかスキルとか仕事とか被ってますし。ミイラ取りがミイラになるとも言いますから、余計なことは控えたほうが良いなって思って」
「へぇ! 君を好きになる男ってタイプ同じなの?」
「違うといえば違うんですけど似てるといえば似てないこともないですかね。身長二人とも180cm越えてますし、武道の段持ちで武闘系の公務員であるとか、だって元自衛隊と警察官ですから。佳彦もそうですが、僕って公務員受け良いんですかね?」
「公務員タイプってのがそもそも鬱屈してんじゃないの? 性癖がネジ曲がるくらい抑圧されてそう。ねぇ、ドSも一緒?」
「いえ、性欲が強い人ですが、ドSではないんじゃないでしょうか。殴られたりベルトでシバかれたりしませんし。僕が自傷すると怒って刃物を取り上げたりします。ああ、セックスは大変上手です……自称ですが。少なくとも佳彦とか小島さんよりうまいんじゃないでしょうかね。そうすると寺岡さんと同じくらい上手いのかな?」
「うわぁー、そんなこと言うようになったんだぁ。私が君のことちゃんと抱いたのって、私の家で首吊りの画像見せた時でしょ? あんな感じちゃってたら誰が何してもイクよね。それって上手?」
「そうですね……発作が終息しても、次の朝になんとなく弄くられてるうちに勃起させられたりするんで」
「あ、そう……さりげなくノロケてんの?」
「え? いいえ。事実です。他の人には何もなければ弄くられてもなにも起きませんけどね」
「えー、幸村さん以外の誰かに弄くられてんの?」

 まぁ、それは佐伯陸のことなのだが。

「別にお互い欲情していたわけでなくて、嬲ってもその気にならないかどうかを実験したことがあって。実験は成功で、二人とも全くその気にならなかったっていう結果でした」
「そうなのか。どんな流れで誰とそんなことになったのかそれに興味津々ですが。でも、余計その警部補に会いたくなったね」
「まぁ、僕は策なしですから、どうしても幸村さんが必要なら繋いでもいいですけど……しつこくてウザいですよ。後悔しないで下さいね」
「しないしない! じゃ、良い時によろしくぅ」
「それで、あの、小島さんには会わせないようにして下さい」
「なんで?」
「寝物語に根掘り葉掘り、過去のいきさつを喋らされたことがありまして。で、例の心中事件に触れないわけにはいかず…」
「ああー、知ってんのね、殺されかけたこと」
「はい。幸村さんから恨まれてます、小島さん」
「殴られちゃうって? しまいには拳と拳で語り合っちゃうかもね! ちょっとそそる。うふふ」

 寺岡さんは趣味の悪いことを言って笑った。僕にはちっとも笑えない。