結局5月のゴールデンウィーク明けは病院の検査で、月の下旬は高校の初の中間テストと、僕は時間に追われて過ごした。やはり英語は散々な結果で、僕は補習を受けるハメになった。6月になり、梅雨が始まる直前にようやくスケジュールが落ち着き、僕は前から考えてた予定を果たしに、平日の放課後、学校の帰りある場所に向かった。

 市役所。

 実行日前、僕は戸籍謄本の申請の流れについてウェブサイトで調べていた。全くどうししていいか知らなかったからだった。

 まず、戸籍は本籍地という場所の市区町村の役所の窓口に行き、専用の用紙…戸籍申請書に書き込んでハンコを押す。ということはハンコが要る。ハンコはシャチハタでなければいいらしい。前もって100均で三文判を取得することにした。使用目的を書く。パスポートの取得、それ以外に高校一年の僕が取れる選択肢はあまりなかった。筆頭者の名前。これは父親の名前を書く。そして本人確認の身分証。これは健康保険証でも構わないらしいが、写真入りの何か、僕なら学生証なんかを付けなければならない。保険証はいつも病院に行く時に自分で家の保管場所(居間の戸棚の引き出し)から持ち出してるし、写真入りの学生証はあるから、これはいい流れだった。

 このことは両親には秘密だ。どういう結果があっても、両親が僕に言わない以上、これは僕の個人的な秘密にすると決めていた。そもそも言う気がないのと、どういう結果が出ても親との関係が向こうが気まずくなるかも知れないと思い、そう決めた。他の人にも言わないでおくことにした。気にしてた隆にも言わないでおこうと思った。寺岡さんには報告するかしないかは後から考えようと思った。あんなに続きが見たいと言って母の相談を買って出てくれてるのに、知らせないのもなんだかとは思うが、自分が取得して見て、言いたくなければ言わなくてもいいかとも思った。