「どうぞ。」



奏は黙々とご飯を食べ始めた。



お礼……言ってもらえなかったな。


喉の奥が苦しくなる。




「……お前、食わねーの?」



「あ……うん。ヘーキ……

準備してくるから、食べ終わったら食器そのままにしておいて。」



「分かった。」




自分の部屋に戻ると、別のメイドさんがさくらの服を着せてくれていた。



「いつもありがとうございます。」


「いえ。」



そのメイドさんは優しく微笑んだ。



こんな、余裕のあるメイドになりたいのに……。