「っ南さん?」
奏が私を連れ出そうとしているのに気づいたバイトの先輩が
奏を止めに入る。
「お客様、店員のナンパはおやめください。」
「ちげーよ。コイツはもうここやめるから。
迷惑掛けたんなら後でここに請求して。」
そう言って、奏は七尾家の電話番号が書かれた紙を先輩に手渡した。
「おい、そういう問題じゃないだろ。
お前誰だよ。」
「先輩、大丈夫です。私の知り合いです。
あと、バイトはやめませんから。」
「ハ!?やめろ、っつってんだからやめろ。
ご主人様に逆らってんじゃねーよ。」
「ご主人様?」
まずいワードに反応した先輩が疎ましかったのか、
奏は舌打ちをしたあと私の腕を引いて店を出た。