この村に来たときとほとんど同じように、村の人たちが私のために並んで立ってくれている。
今日は、七瀬くんと乱麻くんもそちら側だ。
紫希が後ろで私が来るのを待ちながら立っている。
はやくお別れをして行かなくては……。
足も胸も重い。
空は綺麗な水色をして笑っているのに、みんなは私のために輝く笑顔で送り出そうとしてくれているのに、私だけが沈みきったしかめ面なんて見せられない。
私はそんな自分の顔を隠すように、頭を下げた。
そして、重苦しい胸から声を絞り出す。
「今日までありがとうございました。頼りない姫巫女で、皆さんをたくさん不安にさせってしまったと思うんですが……、いっぱいいっぱい優しくしてくださってありがとうございました」
声がか細かった。
こんな声では、私の想いの1%も伝わりはしないのに、目の前に杖をついた長老が現れた。
おじいさんはすでに腰が曲がっているのに、更に深く頭を下げる。