私は今日、久しぶりに妹の麻希と会うために病院に来た。まだ入院しないとダメらしい。
思ったよりも傷が深かった。医者から、そう聞いている。
復讐の事で妹の見舞いを忘れていたなんて…本人の前では言えない…。
麻希の病室の前まで来た私。少し緊張する。久しぶりだから。
よしっ！入ろう！

「麻希？私よ。麻実。久しぶりにお見舞い来たわよ。」

窓から外を見つめていた麻希は、私が来たと気付いてから外を見つめず私に笑顔を見せてくれた。その笑顔を見て、良くなっているんだな。と、少し安心する。

「お姉ちゃん！久しぶりね！まあ、お姉ちゃんの事だから…忘れていた～とかだろうけど。」

す、鋭いな…麻希は…。これじゃあ嘘つけないな…。
アハハ…。と笑うと麻希は呆れ顔で溜息を付く。これじゃあ、どっちが姉か分からないね。

「失礼しまーす。」

少し小声で入ってきたのは…

「拓ッ！」

コンビニの袋を手からぶら下げて病室に入ってくる拓。
私の座っている椅子の隣にあった、もう一つの椅子に座る。

「あの…どちら様ですか？」

と、聞く麻希。そりゃあそっか！私の彼氏だと紹介していなかったんだもんね？
麻希から見たら私と拓はどんな関係に見えるんだろう。

「麻希は、私と拓。どんな関係だと思う？」

「ただの友達には見えないな～。喧嘩相手？」

はあっ！？わ、私殴り合いとかしたことないけど！
第一何で男と喧嘩するわけ！？その言葉に拓は笑っている。笑わないで訂正してよー！

「嘘だよ～！たぶんバカップルって関係？」

…最初の一文字は聞かなかったことにして…。

「そうよ。私の彼氏の拓。」

「麻実と付き合わせてもらっています。拓です。よろしくお願いします。麻希さん。」

拓は礼儀が正しい。麻希も拓を気に入ったようで、すっかり笑顔で自己紹介している。

「え。でもさあ。秋斗はどうしたの？あの秋斗くんは。」

まあ。言われますよね。だって麻希の記憶の中では私が秋斗の事を好きだった。
そういう記憶だもの。…言わなきゃダメだよね。うう。思い出したくないなあ。

「実はね…ー」