ガタンッ!!

乱暴に椅子を蹴る音がすると、私たちの方に足音が近付いて来る。
そしてピタッと止まったと思うと私の隣に居た人は

「秋斗…」

私の醜い姿を一番見られたくなかった人、秋斗がいたのだ。
なんでこんな所に居るの?お願い、私を見ないで。こんな私を、貴方の真っ直ぐな目で見ないで。私は秋斗を見ないように意識した。

「お願いだ。莉緒を許してやってくれ。俺が悪かったんだ。莉緒の事を軽蔑して…莉緒を苦しめたんだ。莉緒は悪くない。俺が全部の罪を償う。だから…

莉緒を苦しめないでください。」

え…。なんで秋斗が謝っているの?悪いのは全て私なのに…
なんで…こんな事をするの?何で…私の為に秋斗が謝っているの?
お願い。これ以上惨めにしないで。秋斗を巻き込みたくない。お願いだから。

秋斗がそんな事言わないで。秋斗は何も悪くない。

「何言っているの?私は怒っていないわよ。

「…え…?」

きょとん とする秋斗。どうやら私が責められていると思っているらしい。
私を助けてくれようとした秋斗。ありがとう。

「秋斗。誤解よ。」

秋斗…麻実…ありがとう。私は貴方達を、もう裏切らない。
時間かかるけど…貴方達に信頼される人になりたい。
努力するから。
     見守っていてください。