私が帰ろうとすると秋斗は付いてくる。しつこいなあ。
莉緒は唇を噛みながら私を睨む。
少し涙目に見えるのは気のせいね。
するとタッタッと足音が響いてくる。

「花音ッ!」

私の腕を掴んだのは拓だった。
拓には…こんな姿見せたくなかった。
私の頬は赤くなっている。
そりゃあそうか。叩かれたんだもんね。

「お、おい!どうしたんだ!その頬は…!」

これ以上見られたくなかった為、私は顔を背ける。
拓は勘違いしたのか秋斗を睨む。

「おい、秋斗…お前が叩いたのか?自分のモノにならないからって良いと思っているのか!」

秋斗は何もしていない。なのに驚くべき言葉が出てきた。

「ああ。そうだよ。俺が殴った。」

何を言っているの?秋斗は殴っていないのに…。莉緒の事を庇っているの?
今頃…莉緒を庇っているの?
ふっ。馬鹿じゃないの?
まあ。今日は莉緒を苛めるのを終了させようじゃないの。
明日も楽しみにしているのね。莉緒。