「秋斗さんは…麻実を殺した人…知っていたんですね。莉緒さんだって。」

「ごめんなさい。花音さんを悲しませたくなくて…」

「それでも言って欲しかった…」

私は俯く。秋斗は謝り続けていた。
すると

「秋斗…!」

やっぱり来たわね。莉緒が。
秋斗は焦っている。莉緒は顔を真っ赤にして怒っている。
私はあまりにも面白かった光景に顔を逸らした。
その態度に苛ついた莉緒は…

「花音さん。なぜ貴女が秋斗と一緒なのかしら?」

「デートの途中だと言ったはずですが?」

莉緒の怒りが爆発したのか私の頬に

バシンッ!!!

と音が鳴り響いた。
これで私が大人しくなるとでも?

バシンッ!

同じ事をしてやった。
その行動に莉緒は驚き、自分の頬を手で押さえて固まっている。秋斗は莉緒が来た時からずっと固まっている。

「莉緒さん…執着し過ぎるのは…彼の愛が冷める原因ですよ。…それでは今日は帰りますね。
最悪なデートでした。莉緒さんに叩かれるなんて。」

すると固まっていた秋斗はハッとしている。莉緒は

「待ちなさいよ。」

怒っているのが分かる低い声で言う莉緒。

「何ですか。」

「秋斗は私のモノなの!」

「だから何ですか。」



鞄を持ち店から出て行こうとすると

「か、花音さん!家まで送ります!」

「結構です。今日は一人で帰ります。莉緒さんに怒られそうなので。」