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…………
「…はい?」
「だからー、名前と職業以外知らなかったっつーの」
「何で!?」
「何で、って。そりゃ教えてくんねーんだもん。契約者にしか教えないーって」
わーすっごい真面目な子なんだー。今時の子と違って身が堅い、って言うか。すごーい尊敬しちゃーう
「じゃねーよ!お前ふざけんな!」
「お前誰でもいいっつったじゃーん。いやーほんと助かったわー」
「クーリングオフは!?」
「対象外です(^ ^)」
「酷い!騙すなんて!」
「さっさと旅に出やがれ間抜け野郎」
全身から喜びが溢れ出ている。言い表せない程の喜び樣。小さな頃から一緒に居たが、こんなの初めて見る。余計にこの子が怖くなってきた
「……」
その押しつけ合いをされてる当の本人はと言うと、無言でじーっとこちらを見ている。見つめ合ーうとー素直にーなれーなーいー…
「あ、あのー…」
沈黙に耐え切れなくなった俺の名は、Mr.ヘタレ。お見合いでもこんな気まずくないと思う。やったことないけど
下らない一人小芝居の後、ふと目をやると、前方、桜雨ちゃんの姿が無い
へ?消えた?あれ?なんてことを三秒程考えて、自分の足元がきらきら輝いていることに気付く