しばらく経ち涙が乾いて、私は床に座って顔を膝に埋めていた。
もう何もかもが嫌で、時折聞こえる私を呼ぶ声に返事もしないでじっと蹲っていた。
窓から夕陽が差し込んでいて多分かなり時間が経ったと思う。
それでも帰る気になれず、独り座っていた。
トン、トン、トン……
静まった階段に響く足音でハッとする。
どんどん音が近付いてきていて上ってきている事に気が付いた。
まさか、先生?!
怒られる、と思って体を強張らせる。
ゆっくりな足音が聞こえる方に目を向けていると……。
「……あ、いた。伊藤」
声変わりもしていない子供らしい声でそう言ったのは______
「本田君……」