人数が多いし、その頃は内気な性格だった私はあまり他のクラスの子と仲良くできなかった。 だから覚えてないんだろうな。 「よく覚えてたね」 「え……?」 「え」 大きな目をもっと大きく見開いてぽかーんって口を開けてる。 え、そんなに不思議なこと私言ったかな? 「……伊藤は、覚えてないの?何も」 「う、うん」 何でそんな泣きそうな顔でこっち見てくるの? 見てられなくて、下を向いてしまった。