「なぜだ、と思っているだろうな。教えてやる。

――それが運命だからだ」


「……運命?」


「そう。おまえは私を好きに使えばいい。

私はおまえの臣下であり、おまえは私の主人だ。

命令ならば泥も舐めるぞ」


偉そうな態度は崩れないが、矜持の高そうなイフリートの口からそんな言葉が出て、アスラは驚いた。

なぜかすごく悪いことをした気分になって、「……そんな命令するか!」と、慌てたように否定する。


イフリートは「それは安心した」と小さく笑って、

「だが、今の言葉は決して誇張ではないぞ」と言った。


「私はおまえの元を離れず、決して命令に背かず、忠誠を誓おう。

私を臣下としたことを、後悔はさせん」