しかし、イフリートは一瞬だけ遠い目をすると、「それはできない」とだけ答えた。


勢いを削がれたアスラは、拍子抜けしながら「なんで」と尋ねる。


「おまえが、私の主人だからだ」


「だから、なんであたしが……」


「王がそう仰った。おまえに仕えろと」


王? と、アスラは首をかしげる。


「父上か?」


「阿呆。違う。もっと偉大な王だ」


さりげなく父王を偉大でないと言われたが、アスラはそのことには腹を立てなかった。

そんなことよりも気になったのは――。


「じゃあ何だ、おまえはどっかの王様に、あたしを主人にしろと言われたからそうしてるのか」