side 梓

なんやこんやでもうすぐ、クリスマスを迎えようとしていた。

クリスマスかぁ。

青春って感じ。

もしも彼氏がいたら、絶対一緒に過ごすんだろうな。

って、少し羨ましいと思う私。

私なんか、好きな人とすらクリスマスを過ごせないよ。

「と、言うわけでして…」

私は梨花ちゃんと、そしてなぜかいつも最近隣にいる霜月君に全てを話した。

京君は桜さんのことを好きでもなんでもなかったということ。

「ま、私はそう思ったけどね」

と、梨花ちゃんは頷きながら言う。

「まっ、俺もかな。どうせ北見は…」
「あず」
「はっ、はい」

霜月君が言う途中で京君が少し遠くから手招きをする。

「をっ、さっそく奴が来ましたか」

と、ニヤニヤしながら霜月君は言う。

「ほらっ、行って来なさい」

梨花ちゃんも優しく背中を押してくれた。

「…うんっ」

私は手招きする京君の方へ駆け寄った。

「どうかした⁇京君」
「いや、今日保健委員集まりあるらしんだけどさ」
「へっ」

き、聞いてませーん。

「で、その後なんだけど…なんか予定ある⁇」

こっ、これはまさかの‼︎

お誘いでっか‼︎⁇

「あ、えっと今日はなにもないよ」
「そっか。んならさ付き合ってくんね⁇」
「え、いいけど…」
「っても、ただの飯だけどな」
「…うんっ‼︎」

なんだかんだ言って、京君とどこかに行くのは久しぶり。

最近は仲めちゃくちゃだったもんな。

私は梨花ちゃんと霜月君のところに戻る。

「で、なんだって⁇北見の野郎」

と、私に聞いてくる霜月君。

「え、えっと…」
「まさかっ、デートのお誘いかぁ⁇」
「余計な事言わんでいい、霜月」

と、京君は霜月君の頭をぺしっと叩く。

「おわ‼︎き、聞こえた…⁇」
「充分すぎるほどな。…あず」
「はいっ」
「こいつらに言わなくていいから。なにも」
「は、はい…」
「それから今日委員会忘れんなよな。次はゆるさねぇ」
「は、はい…」

そういえば私…前の委員会で京君に悪いことしちゃったんだった…。

今日はちゃんと覚えたぞー‼︎

「おーい、王子ー‼︎」

野崎君と山崎君が京君を呼んでいる。

「あ⁇…あぁ」

京君は呆れたような顔をし私達に背中を向けて行った。