side 京

なんとか捕まえた。

「で。あんた誰」

陽は言う。

「えっと…二年の川上…」
「えっ、せ、先輩‼︎⁇」

床に腰をついてるのはどうやら先輩みたいだった。

マジかぁー…。

「まぁこの際先輩とかどうでもいい。なんで桜さんをつけてたの」

春樹は言う。

そう。

さっき俺らと桜がいた時に後ろからチラチラと人影が見えた。

「うるさい‼︎あんたらなんかに分かるか」
「は⁇」
「お前も。お前もお前もっ、顔が良い奴に分かるかって言ってんだよ‼︎」

その川上って奴は叫ぶ。

「顔が良い⁇いや、わけわかんねぇから。なんだお前」

春樹も少しキレてきた。

俺は黙って腰を下ろす。

「どうせ地味は桜さんに見てもらえないよっ」

…そう言うことか。

「なに言って…」
「そう。でも俺も…」
「え⁇」

春樹の言葉を塞いで俺は言う。

「いや…俺もさあんたの気持ち分らんでもないよ」

大きく目を見開く川上先輩。

「ふざけんな‼︎お前には分かるかよ。いつも女に囲まれてるお前には。一番お前みたいな奴が俺が一番嫌いな…」
「そうかもな」
「は⁇」
「でも、一番ほしいものは手に入らない」
「…」
「だからあんたの気持ち分かるよ。俺にも好きな人いるからさ」
「手に入るだろ、あんたなら」
「手に入れるようなことしたら、多分失う。俺はそんな人を好きになったから。まっ、仕方ねんだけどな。あんた、気持ち伝えたら⁇桜に」
「んなのできるかよ。第一相手は俺のことなんか知りもしないんだぞ」
「だから、今からそう知られるように頑張れよ。俺も、逃げないで頑張るから」

この日はなんとか解決した。