「こらぁぁー‼︎そこの二人乗りー‼︎」
「げ…」

京君は声をあげる。

あ…。

偶々、門の近くに担任の先生が立っていた。

京君はそのまま先生の前で自転車を止める。

私、乗ってていいのかな。

「よっ、原先」

原先とは、原田先生。

原田先生はすごく若くって
可愛い先生だった。

だけど中身は厳しく、うるさく。

「よってあんたね。二人乗りは禁止です、法律上」
「ごめんな、急いでたから」

なぜか、京君と原田先生は仲が良かった。

「そんなの関係ありません。後で職員室…」
「わりっ、俺らそんな暇ないんだわ。マジすみません」

そう言って京君は笑い、再び漕ぎ始めた。