「…あず、起きろ」
「ん…」
いつもの朝。
「おはよう」
「お、はよ…」
私の部屋にいるのは京君。
朝が弱い私は、毎日京君が起こしに来てくれるんだ。
家は真横。
部屋も真横。
お互い、窓から出入りできるような距離。
「行ってきまーす‼︎」
「はあーい、行ってらっしゃーい」
お母さんは私に微笑む。
「お邪魔しました」
「いいえー、いつも梓をありがとねー。京ちゃんには本当、感謝してるわー」
「ははっ、じゃあ行ってきます」
そう言って京君も微笑んだ。
京君はずるいよ。
その笑顔、自分で分かってないんだから。
自分がどんなにかっこいいのか。
「ほら、乗れよ」
「うん」
私は自転車の後ろに乗る。
「れっつ、ごぉー‼︎」
「朝からテンション高…」
そんな事をボソッと言う京君だった。