雅が初めてデートに誘ってくれた、嬉しさが心の中でいっぱいに広がったけれど、やっぱり"別れ話"なんじゃないかな、という不安もある。


「ボケーっとしてんな、お前。」

お兄ちゃんに言われ、何だかムカつく。


「うるさいな~。ってか具体的に何買いたいの?」

雅のことを一瞬でも忘れたかった私は、無理やり話を変えた。

「え~っとな、何ていっても莉子(りこ)は可愛いからな~!オープンハートとか?」


ちなみに、莉子というのはお兄ちゃんの彼女さんの名前だ。

ってか、どさくさにまぎれてノロけんなよ!


「はあ・・・第一、オープンハートとか買うお金あんの?」

呆れていると、『あ』とマヌケな声を出した。

やっぱり・・・アホ兄貴だ。


「まあま、未羽ちゃん。未羽ちゃんはお金いくら持ってんのかな?」

ニコニコ笑顔がキモイ。ってか妹に買わせるって・・・!どんなお兄ちゃんだよ。


「もうさ~、いっそのこと香水とかにすれば?」

なんて提案をしていると、ブランドショップが立ち並ぶ、街に入った。