ク「へら、お前は、この先も・・・必ずアーテを、護ってくれ・・・」


ヘ「当たり前でしょ・・・姫様の側近だもの・・・」


ク「あぁ、・・・頼んだ。」


へ「・・・はいっ」


ク「アーテ、必ず、あの国を・・・護れ・・・その手で・・・」


ア「あに、さまっ!」


ボロボロと涙をこぼし始める。


ク「泣かないで・・・くれよ、眠れ・・・ないじゃないか・・・それに、ほら。」


優しく頬を撫でる。


ク「必ず、戻った・・・・・・だろ?」


ア「兄様・・・!」


体を壊れ物を扱うかのように抱きしめる。


ア「私からも、いいでしょうか・・・」


ク「あぁ・・・手短に、な。」


もう目は霞んで見えない。


ア「っ・・・私、アーテは、兄様を、クレイオス様を誰よりも、この世の誰よりも!愛しています!」


ク「ははっ・・・なら、最初で、最後・・・・・・アーテ。









俺は、お前を愛してる。」







ア「兄様・・・兄様!!」


力強く抱きしめる。



ク「俺を・・・ずっと、忘れないで・・・く・・・・・・・れ・・・」


ナ「最後の一吐き言葉を終えるとそのまま息を引き取った。」


ア「あに、さま?兄様!兄様ぁっ!!」


ヘ「・・・・・・っ、ひめっ、さま・・・」


ア「目をかけてください!兄様!」


ヘ「姫様っ・・・」


ア「私を置いていかないでください!」


ヘ「姫様!!」


声を張り上げて泣きじゃくるアーテを落ち着かせる。


ヘ「城へ、戻ろう。クレイオスさんを、忘れないでいてあげようよ、姫様。ずっと・・・さ。」





ナ「アーテはそのあと城について追悼をするまでクレイオスの傍を離れなかった。


泣くわけでもなく、


言葉を何も発することもなく、


ただずっと、傍にいた。


ヘラクレスが声をかけても全て首を横にふり、


食事も睡眠も一切とらず、


見ているほうが痛々しいくらいの状態であった。


そして今。


追悼も終え、クレイオスの墓の前に佇んでいた。」