「だから、飛鳥、だよ。」
飛鳥、――――?
飛鳥がどうしたんだよ?
何も知らないと、表情から読み取ったんだろう。
奏多はわざとらしいくらいに、大きな溜め息を吐くと、僕に一瞥の視線を向けた。
「飛鳥、またやられたんだよ。」
え、――――?
「何をだよ。」
「ストーカーだよ、ストーカー。」
少し前から。
一人で帰る飛鳥を狙って、変な奴がうろつき始めた。
当然の如く。
手の空いた人間が、飛鳥を迎えに行くようにはしているけれど。
最近は忙しいことを理由に、僕は飛鳥を少し避けていたんだ。
「駅からずっとつけられてたらしくって。
いきなり写真、撮られたらしい。」
「誰もいなかったのかよ。」
「たまたま、その日は一人だったんだよ。」
「……っ。」