◇ 大哉 3
「お前、――――。」
夕暮れ時。
偶然、駅で奏多と一緒になった。
今日は、裕木亜澄の家庭教師の日だ。
飛鳥とは、あれから全然話していない。
「何だよ?」
いつもなら、裕木亜澄の家を出る頃に、飛鳥からメールが届くはず。
さすがに今日は、――――。
ないだろうな、多分…。
あの後。
ばかすか枕で殴られて、飛鳥の部屋から追い出されてしまったんだから。
来いって言われたら、…行くか?
ぼんやりとそんなことを考えながら、角を曲がる。
「いてっ!!」
思いっきり頭を叩かれるまで、奏多の話なんか聞いてもなかった。
「何すんだよっ!!」
「聞いてないのかよっ!!」
睨みつけたつもりが、意外と厳しい視線にぶち当たった。
「だから、何なんだよっ。」