「何が、だって、大哉君だもん、だよ。
そういうのは好きな男の前だけにしろよ?
誰にでもそんなことしてっと、襲われるぞ。」
「誰にでもなんか、しないし。
それにここ、私の部屋だし。」
「彼女の部屋だったら、男は期待するだろ?」
「…大哉君も、期待するの?」
私に、―――。
飛鳥の瞳から、読み取るシグナル。
手を伸ばせば、すぐそこに、いる。
触れたら、終わり。
二度ともう、戻れなくなるのは、わかってる。
だからこそ、この現実を飛鳥に突きつけたくなる。
「そりゃそうだろ、―――。
従妹のお前には何にも湧かないけど。
好きな女だったら、部屋に上がった瞬間から、やらしいこと考えるっつーの。」
「…大哉君もそうなんだ。」
急激に冷めていく、飛鳥の体温。
踏み止まった自分に、安堵と後悔が入り混じる。