「んもっ。

大哉君、もうちょっと気を使ってよ。」


「僕、――――?

結構、気を使って喋ってるんだけど。」



…っつーかさ。



お前がその恰好、どうにかしろよ。




裕木亜澄の家で、そつがなく家庭教師をこなした帰り。




『数学でわからないところがあるから教えて。』




絵文字も何もないこのそっけないメールにて、呼び出された、僕。



「……っ。」



風呂上がりだか知らないけど、髪くらい乾かして来いよ。



飛鳥の身体からは、いい香りが立っていて、思わず視線を逸らしてしまう。