「あ、…はい。」
ほらね、途切れた、――――。
もうこれ以上、無駄話をするのも疲れるし。
さっさと先に進めて行こうと、机の上にあるテキストを手に取った。
飲み込みは、悪くない。
単純なミスが多いだけで、先回りして促すと、ちゃんと理解をして答えを出す。
「うん、正解だよ。」
ふわん、と口角が上がり、嬉しそうに僕を見入る。
「だいぶ、ミス、しなくなったね。」
照れたような瞳は、確かに可愛いんだけどな。
「先生の、…おかげです。」
一応、気を使ってくれてるのか、きゅっと下唇を噛みながら裕木亜澄は小さく頷いた。
「いや、亜澄ちゃんが頑張ってるからだよ。」
少し首を傾げて微笑んでやると、一気に頬が真っ赤になる。
「あの、…飛鳥も…。」
「ん、―――?」
「飛鳥も、先生は教え方が上手いって…。」
そうだな、―――。
結局は、飛鳥の話題がないと、どうしようもないんだ。