裕木亜澄。
飛鳥の、知り合い以上、友達未満―――。
案の定、彼女は飛鳥のせいで注目を浴びているらしい。
毎度のことだ。
そうやって、彼女たちは、飛鳥と距離を置き始める。
「で、どうなの?」
今日もまた、飛鳥は当たり前のように、僕の家のリビングで寛いでいる。
まあ、今日は奏多も一緒なんだけど。
「うーん、何かね、…。」
「やっぱ、離れていきそうなのかよ。」
勝手に冷蔵庫を開けてお茶を取り出すと、奏多は飛鳥の隣に腰を下ろした。
「いやあ…、そういうわけじゃないんだけど。」
「何だよ、女って友達作んのも面倒くさいな。」
「飛鳥、特有だろ。」
「たまに、呼び出されてるような感じが…する。」
「まじで??」
僕らはすっかり、裕木亜澄に詳しくなっていた。
まだ会ったこともないのに、妙に同情心すら芽生えてくる。