『まもなく、映画が始まります。映画中は・・・』




機械のような女の人のアナウンスの声が、二人の耳に届く。
辺りが一瞬で、真っ暗になった。


 映画が始まった。

内容は、戦争の物語。
1人の兵士が、婚約者を待たせて戦争に行くって話だ。


 俺は、映画の途中、彼女の横顔を見た。
彼女の横顔は、いつになく、真剣だった。

そっと、彼女の右手を握る。


「・・・睦月君・・・??」


そのまま、彼女の横顔にキスをした。

少し戸惑った顔で、天音さんは俺を見た。


「映画・・・見ないの・・・??」


「映画より、天音さんの顔が見たい」