「魔女の道具屋!!」


…トカゲの尻尾がほしいのね、どうしても。


私はため息をついて、魔女の道具屋に向かった。
雨が降り、雷の鳴る場所の洞窟の奥に、魔女の道具屋がある。


このへんでトカゲの尻尾を置いているのは、ここだけだ。
ここは品揃えがいいから、魔女以外にも通う者が多い。


「トカゲの尻尾? 売り切れだよ」


店長さんがそう言うと、チョコは漫画のように“ガーン”というゴシック体を頭に乗せて青ざめていた。


「何でだよ! トカゲの尻尾って言ったら、魔女の薬の材料の定番だろうが!!」


「なんか知らないけど、いつもは滅多に来ない天使様が大勢買いに来るんだよ。 何でだろうね」


店長さんがそう言うと、チョコはハッとして、カウンターの机をバンッと叩いた。


「じゃ、じゃあ…ミューもか?」


「ミュー? そんな子、うちには来てないね」


店長さんは“買い上げリスト”に書かれた名前を探す。
ここの道具屋では、職業と名前を名乗らなければ買えない条件になっているのだ。


チョコはちょっとホッとしたように、胸を撫で下ろした。


「じゃ、じゃあ。 人間の腕は?」


「人間の腕なんて、魔女の道具屋にあるわけないだろ。 そういうのは死神に聞きな」


チョコは腕を組んで悩みだした。