魔法は成功したみたいで、天使の子は目を覚ました。


綺麗な金髪をした女の子。
大きな目をパチクリさせて、私たちを見る。


「あ、あの…ここはどこですか?」


「えーっと、ここは私の家。 魔女の洞窟で倒れてた所を、コイツが連れてきてくれたのよ」


と、チョコを指さす。


「あ、そっか。 私、悪魔に追いかけられて…」


「良かった~。 大丈夫か?」


チョコが心配して天使の子の顔を覗きこむ。


「え、は…はい! 大丈夫です!」


何故か顔を真っ赤にしている天使の子。


「私、天使のミューです! 本当にありがとうございました!」


ぺこりと礼をして、家を出ていくミュー。


「もう大丈夫なのか?」


「はい、大丈夫です。 また、お礼に伺いますね。 えと…それと」


もじもじするミュー。
握りこぶしを作って、大きな声で言う。


「あ、ああの! 名前、教えてもらってもいいですか?」


顔を真っ赤にするミュー。


「へ? 俺?」


「はい! あ、あの…その…、一目惚れ、しちゃいました!」


…へ?
服が肩からズリ落ちる感覚がした。


「ああ、俺はチョコ。 こっちはイチゴだよ」


「そ、そうですか! ま、また来ます!」


そう言って逃げるように去っていった。


「なあ、イチゴ。 一目惚れってなに?」


「知らないんかい!」


まったく、ボケボケにもほどがある。