「お前も…落ちこぼれ、なのか?」


悪魔の子は、こちらをじっと見る。


「うん…、昔はね」


今は、溢れるほどの魔力があるのが、自分でも分かる。


「そっか」


悪魔の子は、布団から出た。


「お前、名前は?」


「イチゴ、だけど…」


「イチゴ、その…助けてくれて、ありがとう」


モゴモゴと口を動かして、照れくさそうにそう言った。


「俺の名前は、チョコ。 …よろしくな」


そう言って、少し生意気そうな笑顔を見せた。


それからというもの、チョコは私になついてしまった。
と言うのが正しいのかなんなのかは分からないけど。


『悪魔は嫌い』なんて言っておいて、チョコの事は本気で嫌いになれなかった。



そして、しばらくした頃、いつものようにチョコが私の家に訪ねてくる。


「イチゴ、イチゴー!」


「はいはい、開いてるわよ」


ドアを開けると、血まみれになった天使がいた。


「ど、どうしたの、その子!」


「わかんねえ…。 たぶん、どっかの悪魔にやられたんじゃないかな。 魔女の森で倒れてた」


魔女の道具屋は、種族問わずに色んなやつらが来るからな…なんて、考えてる場合じゃない。


この辺に天使を診てくれる病院もないし…。
できるかぎりの事はしてあげなくちゃ。


幸い、息はしている。
ただ、出血がけっこうひどい。


「チョコ、あんた傷の手当てしてあげて」


「おう、分かった!」


チョコが傷の手当てをしている間、私は本を探していた。
確か、治癒系の魔法があったはず。


やった事はないけど、今の私の魔力なら、多分成功するはず…。
私は本を探し当てて、魔法を使ってみた。