両親の葬式にも、ダークの姿は無かった。
私の友達も来てくれたので、挨拶をしようとした。


魔女の友達、天使の友達、死神の友達…


パーティには数えるくらいしか来た事のないジャックの姿もあった。
それまではそんなに仲良くなかったジャックだけど、この日を機会に仲良くなったんだと思う。


「イチゴ、大丈夫か? …って、大丈夫なわけないか」


ジャックは私にかける言葉がみつからなかったらしく、頭をポリポリとかく。


「大丈夫。 他の友達にも挨拶するから行くね」


そう言って、ジャックのもとをはなれようと思った。
振り返った途端、足がうごかなくなった。


目の前には悪魔の友達が大勢いる。
みんなはダークじゃない…そう、いいきかせた。


でも、何故か近づけなくて、私はその場を去ってしまった。


気がついたら、魔女の道具屋の裏にある、洞窟まで来てしまっていた。
洞窟の後ろの方は大雨が降っていて、雷が鳴っている。


洞窟入り口の大きな木をふちみると、人影があった。


少し小さな男の子の姿。
背中には小さな黒い羽。


悪魔の子だと、すぐに分かった。
分かったはずなのに、さっきみたいな拒絶感はなかった。


なんでだろう、まだ子供だから?


瞼は閉じていて、寝てるのか気絶しているのかは分からない。
呼吸はしているから、生きてはいるみたいだけど。


体が濡れている。
きっと、洞窟の裏手からやってきたんだろうな。


私は自分のローブを外して、その子にかけてやろうとした。


「…さわんな」


いきなり目を開けて、ローブをつきかえされた。


…なんなの、こいつ。