「よ、用は無いの。 ただ…チョコくんの顔を見にきただけで……。 キャー! 言っちゃった!!」


お、乙女だ。乙女がここにいる。私は天然記念物を見るようにミューを見た。


「ああああ、あの、緊張をほぐす為にチョコくんの顔を見にきただけなの! 気にしないでね!!」


そう言ってミューは去っていった。


…ちょっと、この悪魔と書いてバカを持って帰ってよ。
てゆうか、緊張…ってなんの事?


「悪魔と天使が恋愛なんて、聞いた事無いけどね」


トマトが顔を洗いながら言った。
まあ、確かにそうだね。


「聞いた事ないっつーか、禁止されてるっての。 おい、イチゴ。 お前のホウキ貸せ」



「はあ? 嫌よ。 これ気にいってるんだから。 てゆうか、あんたまだ空飛べないの?」


「うるせーな、どうせ俺はおちこぼれですよーだ!」


ふんって拗ねたようにそっぽを向く。


私は少し笑って、掃除でホコリのついた服をパッパと掃ったあと、ホウキを取り出した。


「落ちこぼれなんだから、魔女のホウキで空飛べるわけないでしょ。 どこ行きたいのよ。 連れてってあげる」


そう言うと、チョコは顔を輝かせた。