「最近はその準備で、魔王様のとこに修行に行ったりしてたんだ。 で、明日からは俺、人間界に行かなきゃいけないから…」


「だから?」


「お前になんかあっても…。…なんでもない。俺、準備まだ残ってるからもう行くわ!」


チョコはそう言って、私の返事を待たずに家を出て行ってしまった。


何を言いたかったんだ?アイツ。


「お前の事、心配してるんだろ」


トマトが呟くようにそう言った。


私、チョコにひどい事言ったのにな。


…まあ、いつも言ってるけど。
私はそう思いながら玄関に背を向けた。


「イチゴちゃあ―――ん!!」


ドスッと鈍い音がして、背中に何かが当たった。


い、痛い。
後ろを振り向くと、ミューが私の背中にしがみついていた。


ミューまで、勝手に入ってきて…。


「なに? どうしたの、ミュー」


「チョコくんが、いなくなるってー!」


ミューはえぐえぐとみっともない泣き方をして、私を見た。


私はハンカチをミューに渡して、なだめた。