「…あれ?」


無意識のうちに目をつむっていたらしいチョコは、台車のようなコースターの上で、ミューを抱きかかえ、フワフワ浮いていた。


…また、火事場の馬鹿力ってやつなのだろうか?


そうこう考えてる間に、コースターは処刑台へと向かう。


「ちなみに今日のメインイベント、本気で処刑台が落ちてくるって」


「そんなイベントいらねー!!」


チョコは叫ぶ。
処刑台の上から、大きな刃物が落ちてくる。


ガチーン!!と音がして、台車は真っ二つに割れる。


ちょうど、私とジャックの前、チョコとミューの後ろに刃が落ちた。


私は衝撃で飛んだ体を、ホウキを出して乗せた。
ジャックはそのまま浮いていて、チョコとミューは、処刑台の上の方でふわふわ浮いていた。


チョコは私を見ていたが、私がやったのだろうと感じたのだろうけど、私は首を振った。


「自分の事で精一杯だったんだもん。 アンタに魔法をかけてるヒマなんか無いわよ。 自分の実力でしょ」


チョコはパチパチと瞬きさせて、口を半開きにしていた。


気絶していたミューも、チョコが空を飛んでいる事に気付き、自分が気絶していた事を忘れ、はしゃいだ。