ミューは口から魂が出ているようだった。
でも、二人は早く帰りたいがために、ジェットコースターの入口へと向かった。


椅子では無く、台車のような感じで、座布団が四つ並んでいるだけだった。


「安全ベルト無いんですけど!?」


「危なくなれば飛べばいいからね」


「俺、飛べないしぃー!!」


チョコはギャーギャー騒ぐわ、ミューはずっとガタガタ震えているわ。


忙しいなあ…。


「お前が乗りたいって言うからだろ!!」


とチョコが言った途端、コースターが動いた。


はじめはゆっくり。
だけど、どんどんと上に上がっていく。


頂点に達した頃、鎌が飛んできた。


「ここで!?」


その鎌は、叫ぶチョコの頭上を、超高速で飛んでいった。


髪の毛が数本、はらりと落ちた。


後ろに乗っていたジャックは、素早くよけ、当たらなかったが、あまりの衝撃に、ミューは気を失った。


「ミュー!?」


コースターは真っ逆さまに、落ちていった。


飛べないチョコと、気絶したミュー。
この時点で、私は魔法をかけようと思っていた。


…なのに。