それは、遊園地のパンフレット。


「なにこれ?」


チョコが覗きこむそのパンフレットには、“死神の遊園地”と書かれていた。


「一回行ってみたかったの! 死神の遊園地」


私はそう言って、みんなにパンフレットをくばる。
この世界で一番有名な遊園地、それが死神の遊園地だった。


パンフレットを見たチョコとミューは、だんだん青ざめていく。
パンフレットのキャッチコピーには、“生きて帰ってこれるか?の瀬戸際遊園地!”と書かれていた。


途中に大きな鎌が降ってくるジェットコースターや、本物の霊がいるオバケ屋敷。


首が切れる位置に刃物があるメリーゴーランド。


コーヒーカップの回す部分は丸いノコギリだという。


恐怖のあまり、ミューは気絶してしまった。
自分も気絶しそうなくらい青ざめてるチョコが、ミューを支えながら言う。


「べべ、別にここじゃなくても…、ってゆうか、ダブルデートだからって、許される訳じゃないと思うんデスケド」


「分かってるわよ。 だから、カモフラージュするのよ」


チョコは首を傾げた。


私は、ミューに向かって、指を三回転させる。
すると、あっという間に悪魔に変身!


…見た目だけだけど。
気がついたミューは、自分の服装に驚く。


真っ黒に染まった髪の毛に、真っ黒なゴスロリ風のワンピース。
背中にはコウモリのような羽根が生えている。


「死神の遊園地だから、天使の格好じゃ浮いちゃうもんねー」


そう私が言うと、ミューはまた青ざめた。


どうあっても、死神の遊園地に行かなくてはならないんだと、そう思ったのだろう。


嫌がる二人と、どうでもよさそうなジャックを連れて、先を急いだ。