「ふぅー、すっきりした!」  
 
 彼女はそう言いながら、右手にはめていたグローブを戻した。
 そりゃあそうだろうな。
 あれだけの人を恐怖におとしめ、本日のハイスコアまでだしたのだから。
 と、次に彼女は振り向いた。
 そして、俺は驚くことになる。

 彼女はとても可愛らしかった。
 ぱっちりした目は二重で、唇は小さな花弁のようだ。
 たとえるなら彼女は人間の理想的な部位をかき集めて完全した芸術品だった。

 でも、俺は彼女の可愛いさに驚いたんじゃないんだ。
 彼女を知っていたから驚いたんだ。

「天羽……さん?」

 思わず口から彼女の名前がもれた。
 俺の呟きが聞こえたのか、天羽さんと俺は目があう。
 天羽さんは「誰だっけ、こいつ?」みたいな顔をするが、次の瞬間にはなにかに気づいたような表情を浮かべる。