見えた。
 そこには黒いフードつきのマントを纏った男が立っていた。

「おや? おやおや? どうしたんだい、ロスト君。今日はずいぶんと慌てていらっしゃる。それにお姫様と一緒に来られるとは」

 粘りつくような声、口調で喋りかけてくる。
 こいつは味方だが、あまり好きになれない。

「知ってるんだろ」

「現段階ではお城でなにか起こったくらいは。今の君を見てある程度想像はつくけど。それで? 君はどうする? 僕と一緒に行くかい? 必要な情報はもう集め終わってるし」

 渡りに船だ。
 この国に、俺の居場所はもう、ない。

「ああ、頼む」

「じゃあ、お姫様を殺して早くいこうか」