「あなたは、まだ勘違いしてる。俺は、あなたの、この国の、敵、だ」

「どうし……て」

 その言葉は俺のなかのなにかを暴れさせた。
 どす黒いなにか。
 それは憎しみ、恨み、苦しみ。
 それら全てを混ぜ合わせたものが燃え上がった。

「どうして、だと。国を奪われ、家族を奪われ、人の尊厳さえも奪われた! なにも知らず、なにも見ようともせず、のうのうと生きていたお前にはわからないだろうな!!」

 俺の声が響き渡る。

 周りを見回す。

「お前たちもだ!」

 周りを囲む奴らにも言う。

「俺がもっていた全てを奪った奴らに、教えを請うのは苦痛だったよ。少々予定は狂ったが、俺はこのときを待ってたよ。あんたらが守っていたものがなくなる瞬間をな!!」