姫はすぐさま僕の手を握ってくれた。
 ああ、暖かい。
 こんな汚れきった僕の手を、握ってほしいだなんておこがましい。
 でも、最期くらいは許し欲しい。
 これだけで、僕は救われた気持ちになれる。
 僕の心の闇を眩く照らす光。

 最期に姫の顔を見る。
 悲しそうな、顔だった。
 最期は笑っていて欲しかった。
 でも、そんな顔をさせたのは僕自身だ。
 自業自得だ。

 それを最後に僕の意識はゆっくり闇に溶けていった。