授業も何も頭に入らない。

零兎のことが頭いっぱいだった。
やっと体調治ったのか。良かった。

里居が駆け寄ってきた。

『なぁ帰ろうぜぇっ!』


申し訳無さそうに、
『わるぃなぁ…さっき職員室来いって言われたから、多分説教だわぁ。』と頭を掻いた。

本当は、違う。
零兎に会うため。

すると、
『また柚君怒られちゃうのぉー??悪い子だなぁ♪』加棚がほっぺをツンツンしてきた。

里居が加棚に腕をまわし、
『しゃぁねなぁ。じゃぁ俺らだけで、先行っておこうぜ!柚季!いつものファミレスにいるわ!』と言い、教室から出て行った。


本当……俺って最低な奴。
あいつら、本当に俺と仲良くしたいだけなのにな………


少し罪悪感にかられながら、同じく教室を出た。

ちらっと隣の3組を覗く。

いた!!

あの時と同じ。
零兎は、机に突っ伏して寝ている。


朝も同じだったけど。。

そっと近づく。

なんだ??………俺………すごい緊張している。

真横まで来た。
すると、

バッと顔を上げた零兎。
あまりにもびっくりした俺は、よろけた。

零兎は、すかさず俺の手首を掴んでくれたから、倒れずに済んだ。


『あ……ありがとう………』
なぜか小声になってしまったが、お礼を言った。


『う~ん。いいよぉ~』
まだ眠い様子の零兎。
目をこすりながら、こちらを見ている。

『柚季君だよね………??どうしたの………??』

『いっいや…昨日休んでたみたいだから、大丈夫かなって思って。』

すると、ぱぁっと明るい笑顔を見せ、
『心配してくれたの??ありがとう♪』と言った。

『いいよっ!!気にしないで……』


沈黙になってしまった。
零兎は、ニコニコしているが、話すことが浮かばない。

『たくさん寝るんだね!眠いの??』

『夜中まで起きてることが多いんだ』


『そうなんだ……』


だめだ。緊張して、話が続かない。

何か話題がないかと、
少し目線を落とすと、

あ。
前に会った時と違い、ブレスレットをしている。

慌てて、ブレスレットを指差しながら、『この!ブレスレット……1.2.3.4.......5連なんだ!かっこいいなあ!!』と言うと、

ちらっと零兎は、ブレスレットを見て、
何か思い出したように、ささっとブレスレットを取って鞄にしまい、席を立ち、『あっ!ありがとう!急いでるから!!』と慌てて教室を出ようとした。

『ちょっ!ちょっと待てよ!!ん………??』
呼び止めたが、違和感に気付いた。

あれって。。

その瞬間、何かが繋がった。

まさか………。。