廊下を出てフラフラすると、前から教師が歩いてくる。


うわ……めんめんどくせ…
無言で通り過ぎよう。


『おう!藍塔じゃないか!なにやってんだ??』
4組の数学の亘忠幸《ワタリタダユキ》。数学教師とは思えない、がっしりした体格の男だ。

『うっす!いや。トイレ行ってから、帰ろうと思って』と、目線の先のトイレを指差した。

自分の中では、いい嘘が浮かんだ方だ。

『そうか!あっ!なら、こいつ3組に持ってってくれよ。教卓に置いといてくれればいいから!!』と亘は、たくさんのノートの束を差し出し、無理やり渡してきた。

はぁ??俺が?

『頼むな!置いたら、早く帰れよー』と手を軽くあげて、去って行った。


なんで俺が?
自分のクラスでもねぇのに。

今日ついてないなぁ。。

ため息をつきながら、3組の教室へ向かった。

3組は、俺のいる2組の隣。
隣なのだが、接点がなかなかなく、顔見知りもいない。

そういえば、初めて入るかも………


そう思いながら、3組の教室に着いた。
そっと覗くと……



!?!?
誰か寝てる。
窓際の前から三番目の席に、机にふて寝している男子生徒がいる。

なんで帰らないんだ??